田舎の課題を価値あるモノに変えて、みんなにお届け!

12月1週目:始動


丹波にきてからの生活をできるだけまとめていこうと思い、別のメディアで書いてましたが、まだ日も浅いのでこちらに移しておこうと思う。

よって、バックデート。12月1週目。

月曜日。

朝一番で丹波入り。可能な限りあったかい服を用意していく。
9時前に会社について、入社のご挨拶。弊社は僕とボスとボスの息子以外は全員女性。大体毎日6人くらいの事務所。昔懐かしい前社の芦屋オフィスを思い出す。2007年10月くらい。雰囲気も似てる。初心に戻った気がする。

弊社はこれまでずっと木酢液を製造し販売しており、その中でも真空の中で蒸留を繰り返しタール分等不要な成分を除去し、透明になるまで蒸留された木酢液を販売している。その製造工程の一連の流れを教えていただく。

ぶっちゃけ、何を製造しているのかは聴いていたが、それしか知らずまま入社したので競合がどこであるとか、他社と比べ料金がどうなっているのかとか、これまでの販売実績だとか、全く知らず。
ボスもボスで僕の履歴書を一切みることなく、たかだか一時間程度の自己紹介で採用を決めてくれていた経緯もあり、もはやどっちもどっち。ひたすら状況を把握している間に夕方。

今回、一緒にやっていくことになった背景として、これまでのこの事業に加え、新しい事をやっていく予定であり、それに共感し丹波へ来た訳であるが、一社員として当然把握しておくべき&できるようになっておくべきことは全てやりきっておきたいと思う。

そのうちの一つにシェアハウスの運営というのがあり、来年から管理人として関わるというか、第一住人で入ることになっている。しかし、その家の手配は年内に間に合うかどうかという状況である為、一旦の仮住まいを見つける必要があった。

そこでも奇跡の様な事件が起きた。結論からいうと、他社の寮(正確にいうと寮ではないが)に入るという離れ業が実現した。

入社が決まったあと、ボスが丹波で知人と飲んでいる際、僕の家をどうしようかと考えているとその知人に打ち明けたところ、それやったら力になれるかもしれませんよという。知人の兄貴も同じ会社で入っており、その会社の裏に兄貴の持ち家兼寮のような家があり、そこがちょうど先月空きましたと。そこでどうですか?と。全然それでいいですよと。それで、今に至る。恐るべしローカルクオリティ。まさかの他社の福利厚生が使える時代の到来ですよと。

しかし、そこには課題が3つ程あった。
一つは、炊事場がない。カセットコンロとストーブを駆使する必要がある。
二つ目は、洗濯機がない。パンツをはきかえないという荒技を繰り出す必要がある。
三つ目は、風呂がない。毎晩近くの温泉に繰り出すというセレブになる必要がある。

そのうち、風呂は会社から一番近いところが薬草薬樹公園の丹波の湯。しかし、毎晩20:30で受付が終了、おまけに毎週水曜日は定休。その為、この日は6時前に退社し風呂へ。これまでの生活からは考えられない生活が始まる。しかし、意外と普通。前社時代、入社してから大阪に帰ってくるまでの間、計3回の引っ越しをものすごい短期間に集中して行った時期を思い出す。引越しのプロとしてのスキルがここで発揮されるとは。為せば成る。

夜は、丹波のビジョン委員会とやらに出席させていただく。
県が行っている事業で、丹波における地域活動の促進をメインとした集まりで、この日はこれまでの活動内容の報告や、丹波の素材を用いた新たな商品開発についての会議。これまで不要・ゴミ・廃棄物として位置付けられていたものにスポットライトを当て、実際には本当にいいものもあり、そういった資源の有効活用を考えるというもの。今回、主に話があがったのは廃鶏。

廃鶏というのは、要するに卵を産めなくなったメスの鶏。産めなくなったら産業廃棄物と化しているのが現状。今、世の中で販売されているのはほぼ若鶏。柔らかくてジューシーなのが特徴。廃鶏というと聞こえが悪いが、実際に食べてみると確かに少し固いが、味が超絶しっかりしていて美味いとのこと。ならばどうせ固いんだからということで、いっそのこと固くなってもいいような商品に変えてしまおうかと。そんなこんなで次回来月は、実際に調理し食べてみようと。これはおもしろそうである。

不要と思われるモノを価値ある商品に変え、外にうって出る。
今後のビジネスモデルに合致するので興味深いところ。本当に美味いもの、本当にお勧めできるものにする必要があり、プロモーションも検討していく必要がある。こういう何かが始まる兆しはわくわくする。

この夜、家に帰るとお祝いに数人かけつけてくれて宴会。米なんかの粗品も頂く。皆の思いやりが有り難い。

 

火曜日。

この日も会社の一連の作業をレクチャー頂く。ボスは年も近いが超絶しっかりしている。製造工程に妥協がなく、生産ラインもこれでもかってくらい効率化されていて、おまけに品質管理が超徹底している。身内の人間なのであまりいい過ぎると何のわっしょいやという感じに聴こえるかもしれないが、ゆってもこれまで関わった時間はボスのことを知らない皆さんと同じくほぼ赤の他人なのですよ。率直にすげえと思った。自分もしっかりせねばなるまい。

昼間、来月から始まる予定のシェアハウスを見学しに、大阪の堺市から知人が来社。
彼もまた、大阪からIターンという形で来月から丹波で働くことに正式に決まったとのこと。来月からが愉しみである。

夕方また風呂にいった後、夜は丹波医療再生ネットワークへ。丹波市の医師、近隣の市の医師、さらに丹波の市議会議員さん等が集まって、今後の丹波の医療をどうしていくべきか?という話をする会にお邪魔させて頂く。

丹波市は昨今の日本が抱える少子高齢化社会の問題を当然例外なくうけている。
産婦人科の開業医は市内に一人もいない。小児科も少ない。重度の脳神経・循環器領域の疾患を患ったりすれば市外に運ばなければ対応できないのが現状。これから増える高齢者の対応と、これからを生きていく若い世代の不安を取り除くには何が必要であるか。救急医療、在宅医療の可能性等々。そんなことをお話頂く。会の後飲みながら。

この問題は市単位で考えるよりは県及び国全体で考えなければいけない問題であろうが、市民でまとまった意見をもっておくことは、どうころんでも必要な気がした。

 

水曜。

今、会社で運営しているホームページのリニューアルを検討しており、その打ち合わせ。今後がっつりやっていく予定。これまでほぼ丸投げしていたことを、自分もがっつり入ってやっていく。何事も勉強。基本的にスペシャリストよりもゼネラリストになりたい。これはずっと大学くらいから思っていること。

水曜は近くの風呂が休みなので、西脇市のへその湯へ。
こっちの方が若干綺麗。お値段一緒。しかし遠い。風呂に時間をとられるのはまあまあめんどくさい。それはそうと、ここらへんは大学の時、サークルでキャンプしたはりま時計台キャンプ場の近く。懐かしさがこみあげる。

この日の夜は、丹波の経営者が集まる経営者塾へ。
毎回一人、担当が決められ、その人の会社の現状、抱えている課題、それをどうやって解決するか、将来のビジョンにいたるまでを発表し、参加者から徹底的にブラッシュアップを行うというもの。ガチンコで現在進行形で行っている会社なだけに超真剣。参加者も知人の会社である為超真剣。何事も真剣な場はおもろしい。

終わったあとは宴会。田舎の居酒屋は皆車でいくので、飲んだら帰れない。でも、車でしかいけないというジレンマがある。カオス。

 

木曜。

昼間、サイト構築について案をまとめていて、それをボスにお伝えしようとした矢先、事件が発覚しワタワタする。

そしてこの夜、我が家で緊急会議という名の鍋が行われる。鍋に関する武器一式はすべてもらいもん。もらいもんだけで生き残る術を世にお伝えしたい。
しかし、頂いてきた野菜をしばきあげる武器がない。家主の弟である知人が人参さんの茎の部分を歯でかみちぎる。葉っぱ系は手でむしっていれる。恐ろしいまでに野生の味がする鍋が完成する。ワイルド過ぎて体中から毛が生えてきそうな程にワイルドであった。

事件というのは、まあまあインパクトのでかい事件であったが、ひたすら話し合った結果、逆にこれからやろうと考えていく事業計画に思いっきり振り切るきっかけになった。
人間、追い詰められた時の方が本性がでる。うちのボスは強かった。心配よりもむしろ愉しくなってきた。早い段階であとはやりきるだけという状態にしたい。

 

金曜。

議員さんを交えてミーティング。今後の方向性を確認。
決断を行う人にとって、第二者を交えることは精神衛生上安心もあるし、もし間違っていた際に訂正も行える。第三者を交えることでそれがより強固により確実に方向づけられていく。世の中、たった一人の代表が会社を仕切る仕組みではもう、成り立ちにくいのかもしれない。共同経営者を置いてる会社が最近賢いと思える。

夜は会社の歓送迎会。何もできてないのでしっかり頑張ろうと心に誓う。

 

土曜。

朝一番で大阪に帰り、昼間、誘われていた大学生の就活支援のイベントへ参加させていただき、模擬面談やらをする。

自分が経営者だとして、どういうやつなら採用するか?割と真剣に考えた結果、結論としては新卒は採用できないと思った。お互いのリスクがでかい。
丹波が実家で帰りたいとか、結婚するから丹波に帰らなければいけないというような場合は検討の余地あり。しかし、都市部で生活してきたのなら、一度そのままそっちで就職してみてほしくて、そっから何か違う、居場所はここじゃないという場合に、このローカルエリアへ入るということも検討してみてもらいたいなと思った。自分もそうだったから。気持ちだけじゃない、強い動機がほしい。

途中、自己分析がままならない学生の為の、自己分析タイムがあり、そこで色々学生の悩みを聴いてみたところ、まだ大学三回とかで就職活動も始まってないからか、まだまだ曖昧な皆様。

どこの会社に入るか。どの業界・職種にいくか。自分は何がしたいか。自分は何を考えているか。自分は何者か。

答えにいきつくまでにはたいていの場合順序がある。全ての人がそうではないが、そういう人もいる。

今回、『自分が何考えてるのかわからないっす』というやつがいた。それは自分にもわからない、自分で自分を探ってもらう必要がある。最初に、どんな話でもいってくれて構わない、どういう言葉遣いで話してもらっても構わないから、率直にそのまま湧いてきた言葉で君のことを教えてくれと前提を伝え、話をきき始める。

これまでの人生のイベントを聴き、それらの際、どういう気持ちだったのか尋ねてみたら、『難しいっすね』という。お前の脳みそのことやろが!!と思ったが、グッとこらえ、話を聴く。しかし、深くまで見えなかった。多分あの子は、大人数のイベントでは話が聴ききれないと思った。サシのガチ飲みが必要であった。

まあしかし、僕はぶっちゃけこういう類のイベントはあまり好きではない。
その理由は、主催者側が何か一方的な『答えを持って』いて、まるで参加者の話・応えを聴いているような体裁だけ整えて実のところ自分たちの価値観に押し込めていく構図が垣間見えることが往々としてあるからだ。そもそものスタンスがフラットではない場合が多い。
あまり、上から下へ、押しつけがましく教授して差し上げるといった接し方が好きになれない。いくら誘ってくれた友人がそうでないにせよ、集団は大きくなれば万人もそうであるとは言い難くなっていくのが世の常。

まあでも、そういう方々は僕の人生に1ミクロンも関わらないからいいんやけどね。いつも誘ってくれる友人に感謝。考えるいい機会をありがとう。

僕は、いつでもどこでも誰でも、フラットな関係でいたい。

その後は前職時代のやつの結婚式二次会へ。久しぶりの天満橋。
新婦からの手紙があり、そこで新郎に対し、あんたはサラリーマンが死んでも合わないと言わせ、その後に愛してますといわせるミラクルを垣間見る。できた嫁ですな。お幸せに。
懐かしい顔ぶれにあえてよかった。

久しぶりに実家の風呂に入る。家に風呂がある生活というのは実にありがたいもんだと悟った。
日曜。

昼間携帯ショップへいき、その後梅田へ本気の冬物衣料を買いに。
本気の冬物にもとめるものは、断固たる防寒。その機能性を求める訳であるが、およそブランドもんと呼ばれる類のものはそういった機能よりもデザインを重視される場合が多いように思う。そこに価値は感じない。デザインの本当の価値は、機能の上に重ねられたデザイン。名前だけで服やらカバンやらを買う時代は、そろそろ終わるんじゃないかと思う。だって、いらんもん。

梅田の町を歩いていて、ちょっとだけ、ほんのちょっとだけもうホームじゃない気がした。これから頑張ろうと思った。

夜、おかんに今回の決断についてようやく報告するタイミングがあり、話す。
やっぱり、最初反応としては何かすげーいいたそうだった。でも、グッと飲み込んだようなそぶりを見せ、いつ出発するんや?何か必要なもんは?と気遣ってくれる。親心ってやつなんでしょうな。理解してくれてありがとう。

月曜、親が起きる前に出発。また始まる新天地生活。
てな訳で。1週終了。
【思ったこと・気づいたこと小ネタシリーズ】
◆丹波のコンビニで買う缶コーシーは、灼熱
⇒そもそも外気がさぶいからなのか、さぶい地域だから設定温度が高いのか。謎。

◆歩いてる人よりポリが多い
⇒わりかしここまでガチ。

カテゴリー: 丹波DAYS